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子供にとって大切なことって何?

 この十年間、保護者様から様々なことで相談を受けました。その中で最も多かったのが

  「○○の点数が悪くて・・・、困っています。」

  「○○が覚えられなくて・・・、どうしたらいいでしょうか」

という悩みです。

 私がいつも気になるのは、表面的に浮き上がってきている部分にのみ関心がいっていることです。○○が出来ない原因を本当に考えているのかなと心配になってしまいます。それらが出来ない根底にあるのは、「読み・書き・計算」そして「思考」が出来ないことによるものなのです。この4つが出来れば、お子様の可能性は無限大に拡がります。

 勉強を進める上でのオススメは、まず「読み・書き・計算」をマスターすること。ただ、こればっかりやっていたら子供はダメになってしまいます。これは基礎学力の中でも最も基礎にあたるものなので、ある程度できるようになれば終了です。楽しくない反復練習となるので、やり過ぎると勉強嫌いになってしまいます。

 次にすべきは、論理力を鍛える「本当の国語」を学ぶことと、思考力を鍛えるような「パズルや算数・数学」です。これら二つの教科で論理的思考力をどのレベルで身につけるかが、その後の人生に大きく関わってきます。

 大学受験において大切なのは、本人の「論理的思考力」と「知識」と「やる気」です。

論理的思考力」と「知識」は問題を解いていくための両輪です。片方だけでは機能しません。つまり、偏差値を上げていくのにこの二つはなくてはならないものです。思考することによって新たな知識を得て、それを用いてさらに思考し、次の知識を得ていく。この繰り返しでより高度なことを理解し、知識とし、より難しい問題を解けるようにしていくのです。

 ただ、この過程では思考力がほとんど身につきません。つまり、自分の持っている思考力では得られない知識にぶつかったとき、それがその子の限界となります。それを突破するのは容易ではありません。一生懸命に塾に通ってもたとえ浪人しても成績が上がらない原因の一つはこれです。要するに、自分の力の限界に到着してしまっているのです。逆に思考力があれば、その時点での成績が悪かろうが勉強すると面白いほど偏差値が上がります。

 こういう事を知ると、「論理的思考力」は絶対養っておかないといけないものになります。ところで、ここでよく忘れ去られてしまうのが「やる気」です。

 「やる気」とは、「論理的思考力」と「知識」という両輪を使いこなすために必要不可欠な力です。やる気から生じる「○○に行きたい」という強い意志がないと、大学受験は始まりません。すなわち、どれだけ「論理的思考力」が高くても宝の持ち腐れというわけです。だって、勉強しないのですから(苦笑)。では、やる気はどうやって育つのでしょうか。

 脳科学や児童心理学ではこの答えは「誉めれば育つ」「邪魔しなければ育つ」です。

 まず、誉めて育てましょう。人は誰しも良いところよりも悪いところに目が行きがちです。少し日常を振り返ってみましょう。お子様がテストを持ち帰ってきました。あなたはなんと言いますか。

 ①「またぁ・・・こんな簡単な問題で×をもらっている!」

 ②「へぇ~この問題難しそうなのに、よく出来たね」

 あなたの言葉はどちらに近いですか?①の方は危険です。お子様のやる気を根こそぎ刈り取ってしまうタイプです。まず②を心がけましょう。心理学上、マイナスのことを言われる場合でも、プラスの話があった後ならば相手は聞く耳を持ちますまず、プラス、次にマイナスです。

 次に、お子様の意見を尊重し自分自身で言動を決めさせることを意識しましょう。子供をよくよく観察しているとこれは正解だと感じます。小さい頃から親に決められた言動だけをしてきた子供が、大きくなって自分で「よし、○○しよう!」なんて思うわけありません。「今日何食べようか?」など些細なことの決断から始めていかないと、より大きなことを決断することなんて到底できるわけありません。

 社会に出て成功している方々を見ても、とても才能だけで勝ち取ったとは思えません。才能よりも努力家であることが必要なのは明白です。その努力を支えているのは、言うまでもなく「やる気」です。

 このように考えると、子供にとって最も大切なことは学校のテストで高得点をとることではありません。それだけを追い求めたものに囚われないようにすることが肝心です。子供の思考力を養わないどころか、やる気を潰してまで点数を取らせることに本当に意味があるでしょうか。

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