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その場しのぎ

 学習塾の指導は、即座の結果を求め効率化を図るあまり、先のことを考えた指導ではなく、「その場しのぎ」になりがちです。すなわち、「差し迫った試験の点数を上げる」ためだけの指導となります。

 例えば、ある中学3年生の子供が数学の一次関数で引っかかっているとします。「その場しのぎ」で指導を行うと、もっとも短時間で効率よく一次関数の問題を解けるようにするために、頻出問題を何度も解かせ続けることになります。なぜ連立方程式を解くのかといった理解をさせずにひたすら演習をさせるわけです。どんな子でも演習させさえすれば、簡単な高校入試の問題ぐらいは必ず解けるようになりますから。

 しかし、これで高校受験を乗り切ってしまうと、つらい高校生活が待ち受けます。高校の数学に全くついていけないのです。高校の数学の3割は関数についての内容で、高校1年生の一学期の学習範囲は二次関数の発展です。その基礎は中学2年生で習った一次関数にあります。これは数学に限らず、英語などにも言えることです。もちろん、計算問題のような反復練習により早くできるようにならなければいけない内容もあります。しかし、きちんと理解しておかないと後になってひどい目にあう単元があるのも事実です。

 教育に携わる方には、「詰め込み」や「その場しのぎ」のようなその場限りのものではなく、先のことまで考えた授業や指導を日ごろから心がけて欲しいものです。

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