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塾の実態

 全ての塾がそうであるとはもちろん言いません。(というか言えません!)しかし、ほとんどの塾がそうであると言っていいと思います。

 塾といえども会社ですから営利目的で行っています。正直に申しますと、私もそうです。一生食べていけるだけの資産を持っているわけではないですし、それはご理解いただけると思います。

 しかし、塾にはもう一つの目的があります。それは子供の教育です。これは塾が教育機関であるためには必要不可欠な目的でしょう。であるにも関わらず、これを忘れてしまっている塾が多いこと・・・。私が教育に関心を持ちこのような仕事に携わった中で、この実態は私を最も失望させました。

 教育の最終学年にあたる高校生の学力を見る限り、明らかに私の時より劣っていると感じます。一部では「ゆとり教育」の結果だと言いますが、様々な先生や書籍、情報を統合するとそれは間違いだと考えざるを得ません。

 「ゆとり教育」の大きな問題点は学習時間の減少といわれます。すなわち、勉強していないという訳です。もっともらしいですが、それは学校の授業時間を意味しているだけです。実際には、ほとんどの子供が広い意味で塾(そろばんや英会話も含めて)に通っています。今の子供は昔の子供と比べて学習時間は多いのではないでしょうか。

 そう考えると、子供の学力の低下の理由はどこにあるのでしょうか。私は塾の教育の敗北ではないだろうかと思います。本来、塾は子供の学習を補うべき教育機関という役目を持っています。我々が子供の頃は勉強面だけのサポートをしていれば良かったのですが、時代は変わってしまいました。今の子供達には勉強以前に物事の捉え方や考え方も教えていかなければいけないのですが、それを見落として(見過ごして)しまっています。足りない部分を補うべき塾が、営利目的のためだけの会社に成り下がってしまっているからではないでしょうか。

 実際、私が勤めていたところもそうでした。どうお金を出させるかということに焦点があたりすぎていました。学力向上とコマ数の増加を結びつけ、授業を取れば取るほど成績が上がると錯覚させようともしていました。そうやって育ってきている子供達なので、小学校の時から塾に通っている高校生でも勉強との関わりが悪いのです。勉強に対する姿勢や授業態度、勉強の仕方が全く出来ていません。

 営利目的としての塾が必要とするのは、得点UP合格実績だけです。理由は、教育はサービス業であるがゆえに、そのサービスで何が得られるのかということを言う以外にサービスの宣伝が出来ないからです。そして、子供の成長を数値化できない以上、得点UP合格実績の数字だけが唯一のサービス内容の明示ということになってしまうのです。それで、塾は実績の向上だけを経営理念とし、商売をしていくのです。

 このことを端的に示す事実としては、これほど塾があるのに身近な受験を目的とした塾がほとんどであるということです。教育というものを得点UPと受験と合格実績でしか表現できないことにとても悲しくなります。これにより大きな損害を被るのは子供たちであり、高校生に上がると厳しい現実を突きつけられることになります。

受験を扱うことが悪いとは全く思いません。しかし、入学した後のことも考えた指導を行って欲しいものです。

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